目次
バックテストの基本
バックテストは、過去の相場データを用いてEAのパフォーマンスを検証する方法です。このプロセスを通じて、EAの有効性やリスク管理能力を判断できます。
正確なバックテスト結果は、EA選びの第一歩です。
ただし、悪意あるデータの操作や過剰な最適化が行われた場合、結果は誤解を招く可能性があります。

悪意あるバックテストの特徴
1. 短期間のデータ使用
短期間のデータのみを用いたバックテストでは、特定の市場条件に最適化されている可能性が高く、その結果が不自然に良好に見えることがあります。特に、ナンピンマーチン型EAの公開バックテストでは、半年程度のデータが使用されるケースが多く見受けられます。これは、特定の半年間の相場でのみうまく稼働するようにパラメータを調整すれば、多くのナンピンマーチン型EAは良好な成績を示すことが可能だからです。このようなテスト結果を鵜呑みにするのは危険です。
2. スプレッドの不適切な設定
実際の取引環境と異なるスプレッドでバックテストを行うと、実運用において期待通りのパフォーマンスを得ることは困難です。特に法定通貨やゴールドを対象としたEAの場合、2~3pipsのスプレッド負荷を設定していないテスト結果は信用に値しません。スプレッドを0に設定するなどは論外です。また、変動スプレッドも理想的ではなく、一律の固定スプレッドを使用することが最も望ましいと言えます。
3. 勝率の異常な高さ
勝率が90%以上の場合、損失を抱えたポジションを除外している可能性があります。こちらの場合、ログ全体を確認できない場合、信用には値しません。

信頼性を確認するチェックリスト
- バックテストの期間は最低10年以上か?(仮想通貨は直近5年)
- モデリング品質が99%以上か?(TDSバックテスト)
- スプレッドが実際の取引環境と一致しているか?(スプレッド負荷2~3pips)
- フォワードテストの結果と一致しているか?(好調期と不調期のパフォーマンス差)
- 総取引回数が十分か?(1,000回以上が理想)
このチェックリストを使うことで、安全性を確保できます。

よく使われるトリックと見抜き方
1. ナンピン・マーチンゲールの使用
ナンピンやマーチンゲールを採用したEAのバックテストの資産曲線は、通常、非常に滑らかな右肩上がりを描きます。これは、継続的に収益が増加する一方で、損切りが発生した際に一度に大きな損失を被るリスクを内包しているためです。なお、公開される資産曲線では、損失が発生したデータが意図的に含まれていない場合が多い点にも注意が必要です。特に損切りの基準が明確でない場合、損失が無限に拡大する可能性があり、十分な注意とリスク管理が求められます。
2. 含み損の隠蔽
バックテスト結果に含み損を含めない場合、成績が実際よりも良く見えることがあります。
3. 過剰なパラメータ最適化
過去のデータに特化しすぎると、新しい市場環境では上手く機能しなくなる可能性があります。特に、10年以上のバックテストで最適化を行うのは難しい一方で、半年間程度の短期間では比較的簡単に最適化が可能であり、その結果として、見かけ上良好な成績に改ざんされる恐れがあります。このような短期間のデータに基づく最適化は、実際の運用において信頼性が低い場合があるため注意が必要です。
便利な検証ツール
バックテストの信頼性を確認するためには、適切なツールの使用が重要です。以下のツールが役立ちます:
- MT4/MT5のストラテジーテスター
- TDS(Tick Data Suite)
- Myfxbook、RealTradeなどのフォワードテストツール
これらのツールを活用して、EAの信頼性を最大化しましょう。

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